【ブランディング – ブランドロゴ・企業ロゴの役割 ❶】ブランドロゴ・企業ロゴとコミュニケーション
ブランドロゴを目印にブランド体験・知識が集積される。そのブランド体験・知識の総体がブランドイメージ。ブランドロゴに触れた時、ブランドイメージは一気に再生される。
顧客が様々なブランド・マーケティングコミュニケーションに接し参加することにより、顧客の中に多くのブランド知識やブランド体験が創られていきます。それらのコミュニケーション効果は、ブランドロゴを核にしたVIシステムによってブランドと結びつけられます。
つまり顧客のブランド体験・知識は、ブランドロゴを目印に当該ブランドと結びつき、集積されブランドイメージとなるわけです。
ブランドロゴとブランドコミュニケーションの関係
地上に咲くブランドロゴと、地中で育つコミュニケーションの実
ブランドイメージは、様々なコミュニケーション施策で育てた地中の豊かな“実”。ブランドロゴは地上に咲く綺麗な“花”。
顧客においてブランドイメージは、コミュニケーション施策により創られ記憶されている知識や体験。いわば地中に育っている、様々なコミュニケーションの“実”の集合といえます。それに対してブランドロゴは地上に咲く“花”です。ブランドロゴという「固有の」花を目印にブランドを識別しその花の下、コミュニケーション効果(ブランド体験・知識)の実がどんどん集積されていきます。
ブランドロゴの花に接した瞬間、それに関連づいたコミュニケーションの実が、一気に全て引き出される。
ブランドロゴを目にした瞬間、ロゴと結びついた様々なコミュニケーション効果が一気に再生されます。地上の芋の花を引き抜くと、それと繋がっている地中の実が芋づる式にいっぺんに引き出されることと同様です。
ブランドロゴの美しい花を識別しその花の下、コミュニケーション効果による実が育成される。その花を目にした時、コミュニケーション効果による実の集合、“ブランドイメージ”が「一気」に引き出されます。
ブランドコミュニケーションで実を大きく育て、ブランドロゴとの結びつきを管理する
コミュニケーションに投資してもブランドが育たない例
VIによってブランドロゴと各コミュニケーションがしっかり結びついていないと、投資コストに無駄が生じる結果に。
PRや広告宣伝など効果的なコミュニケーション投資を行っているにもかかわらず、ブランドイメージが期待するように創られない場合、VIに課題があるかもしれません。顧客においてブランドロゴと各コミュニケーション施策が明確に結びついていないと、当該ブランドに蓄積されるべき効果が漏れてしまいます。顧客においてコミュニケーション施策とブランドロゴの結びつきが切れているとコミュニケーションによる“実”は育ちません。この結びつきはVIシステムの適切な構築と、VIガイドライン(ブランドガイドライン)に基づいたVIの運用を行うことによりしっかり結びつけられ、ブランドイメージが創られていきます。
もし別ブランドと認知されていると、他のブランドロゴに結びついたコミュニケーション投資が必要になり、単純にかかるコストが2倍3倍になります。一つの花に複数の実が紐づいていない状態です。無計画にロゴの亜種が複数存在するような状態では、コミュニケーション毎で違う企業とみなされたり、ふと疑問に思った途端その人には記憶されなくなります。
このような場合、まずはVIシステムの検証と再構築が必要になります。各ブランド階層の関係性を整理する等、ブランド体系を見直し再構築しなければならないケースもあります。現状のブランドコミュニケーションについて棚卸し(ブランドオーディット)を行い、場合によって調査することも検討事項になります。大掛かりな作業になるかもしれませんが、将来的なコミュニケーション投資を無駄にしないこと、ブランドの育成・創造によって価格競争を回避し景気変動に強い収益体質にする、それらとのトレードオフと捉えるといいかもしれません。
ブランディングは農業のようなもの。しっかり手を掛けながら地中にある実を育てていく。
まずキレイで適切に認識されるロゴであること。VIをしっかり整備・構築してVIガイドラインに則りロゴを表示すること。その上で常により良く効果的なコミュニケーションを実施していくこと。これらによりブランドが健全に育っていきます。
ブランディングとは地中の“実”を美味しくしっかりと太らせ、たくさん作り出す…そんな取り組みです。この美味しい“実”の総体がブランドイメージというわけです。いわば農業、農作みたいなものかもしれません。ブランドにしっかり手を掛けながら、着実に育てていく取り組みです。
まとめ
ブランド体験や知識をブランドと関連づけ結ぶことでブランドイメージが創られる。ブランドロゴはそのための目印。
ブランドイメージは、ブランド体験や知識をブランドと関連づけしっかり結ぶことで創られていきます。ブランドロゴはそのための目印。ブランドロゴにより、ブランドを識別し認識させます。そしてブランドとコミュニケーション効果を確実に結ぶには、ブランドロゴを核にしたVIシステムがカギです。
時々言われることですが、ブランディングはブランドロゴを作成することではありません。まずはブランドネームの策定に併せ、ブランドロゴを作りVIシステムを構築すること。VIシステムを規定し運用するブランドコミュニケーションガイドライン(中でもVIマニュアルやCIマニュアル、スタイルガイドラインなど)を開発すること。その後、ガイドラインやVIマニュアルによりコミュニケーション施策におけるクリエイティブとビジュアルデザインをしっかり管理すること。これらの取り組みが必須になります。